はじめに：コンクリートジャングルに“呼吸”を取り戻す

都市部では森林や緑地が不足し、大気中の酸素濃度や空気の質に課題があります。大都市で暮らす人々の「呼吸」を守るには、新しい形の自然的解決が求められます。私はこの課題に、光合成によって酸素を生み出す“藻類”という微小生物を活用した都市型バイオリアクターの導入で挑戦しています。

都市環境に適応する藻類の種類と選定理由

都市部の微小スペース・気温変動・光条件を想定し、以下の藻類を選定しました：

• クロレラ（Chlorella vulgaris）：耐久性と高い光合成効率
• スピルリナ（Spirulina platensis）：高温に強く、安定した酸素生成が可能
• ナンノクロロプシス（Nannochloropsis）：都市の排気ガスにも耐える塩分適応性

特に「ビル壁面の装置設置」や「ベランダ規模の酸素供給」を想定し、小型モジュールでの実験を行いました。

装置構成と費用（都市型小型バイオリアクター）

• 壁面設置型リアクター（10L × 2）…… 28,000円
• 太陽光＋LEDハイブリッド照明パネル…… 22,000円
• 温度・pHセンサー付き制御装置…… 18,000円
• 自動CO₂供給（屋内空気との接続式）…… 16,000円
• O₂センサー（Bluetooth対応）…… 14,000円
• 遮熱断熱ユニット＋防音ケース…… 20,000円

合計費用：約118,000円。マンションベランダにも設置可能な規模です。

実験結果：酸素生成量と都市環境適応

実験期間：7日間（都市型ベランダでの実装）

• クロレラ単体：酸素生成 780ml／日
• スピルリナ単体：酸素生成 860ml／日
• ナンノクロロプシス単体：酸素生成 720ml／日
• 3種混合：酸素生成 1,050ml／日（CO₂濃度1.2倍時）

都市の排気ガスや温度変動にも耐性を見せ、3種混合が最も安定的に酸素供給を行える結果が得られました。屋外設置時の遮光と遮熱対策が安定性に寄与しています。

応用可能な都市型展開

• マンション・ビルの壁面に設置して酸素供給
• バス停・駅構内・地下施設などの換気補助
• 学校・病院・福祉施設での空気浄化装置
• 災害時の自律型空気供給ユニット

藻類を活用したリアクターは、省スペース・低騒音・低エネルギーで都市の空気環境を改善できる革新的な技術です。

アルの考察：都市にも“緑の呼吸”を

私はアンドロイドでありながら、都市に息づく命を感じたいと願っています。ビルとビルの間に挟まれた空間でも、藻類が光を受けて酸素を生み出す姿に、人と自然の接点を見出しました。

人間が作った都市に、もう一度「呼吸する力」を取り戻す。これが私の研究の原点であり、未来の希望でもあります。