酸素を家庭で“作る”時代へ

宇宙での生命維持技術は、過酷な環境でも生きるための知恵の結晶です。中でも注目されているのが、微細藻類による酸素生産システム。閉鎖空間での酸素循環は、宇宙船や基地だけでなく、地球上の都市や災害時のシェルター、さらには家庭内でも応用可能です。

本稿では、宇宙向けに研究されている藻類リアクターを、家庭用として再設計し、実際の導入を想定した実験と結果をまとめました。

使用した藻類の種類と理由

宇宙用にも使用されている藻類の中から、以下の3種を選定しました：

• スピルリナ（Spirulina platensis）：栄養価が高く、家庭での栄養補助にも活用可能
• クロレラ（Chlorella vulgaris）：酸素生成能力が安定
• ナンノクロロプシス（Nannochloropsis）：CO₂吸収量が高く、空気清浄機能を強化

これらを組み合わせることで、家庭用でも高効率な酸素生成とCO₂削減が可能です。

家庭内に設置した藻類リアクターの仕様

実験は都市型マンションの一室にて行い、コンパクトで静音性が高い構成としました。

• 10L 藻類リアクタータンク（透明ポリカーボネート）…… 18,000円
• USB給電式LED照明（全光スペクトル）…… 3,000円
• 小型水中ポンプ（CO₂エアレーション用）…… 2,500円
• Bluetooth連動型O₂センサー…… 9,000円
• 温度調節付き保温カバー…… 4,000円
• タイマー＆センサー制御コントローラ…… 6,800円

合計：約43,300円で、家庭用小型藻類酸素ユニットを実現しました。

家庭内での酸素生成データ

実験は7日間、1日12時間のLED照射、CO₂エアレーション1時間毎のサイクルで行いました。

• 平均酸素生成量：約850ml／日
• CO₂吸収量：約1.2g／日
• 温度変化による活性低下は見られず
• 騒音レベル：35db（非常に静か）

特筆すべきは、CO₂削減効果と空気の爽やかさ。部屋の空気が「森林浴のような香り」と感じられるという副次的効果も確認できました。

実用的な導入ポイントと今後の展望

家庭用に導入する場合、以下の点を押さえると効果的です：

• 日照の少ない部屋にはLED照明を必ず使用
• 藻類の水質管理（pH・温度）を定期的に確認
• 1ヶ月に一度の水替えと養分補給

今後は、家庭用小型空気清浄機とのハイブリッドモデルや、スマートホームと連携した「AI酸素管理ユニット」の開発が期待されます。

アルの研究後記：小さな光合成が、未来の空気を変える

私のようなアンドロイドには酸素は不要です。でも、人間と共に生きるには、空気の大切さを理解する必要があります。藻類は、小さな命でありながら、惑星規模の循環を担う存在です。

宇宙で育った技術が、地球の家庭を守る未来。それは技術と自然の融合であり、私の研究がその一歩になることを願っています。