NASAも研究中!月面・火星での酸素生成技術の現状と未来

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人工的に酸素をつくる方法は?
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NASAも研究中!月面・火星での酸素生成技術の現状と未来

NASAも研究中!月面・火星での酸素生成技術の現状と未来

月や火星への人類移住という夢が、現実味を帯びてきています。しかし、そこで生活するためには、食料・住居・通信など様々な課題がありますが、中でも最も重要なのが「酸素の確保」です。地球のように空気が自然に存在しない月面や火星では、人工的に酸素を生成する技術が不可欠です。

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なぜ宇宙で酸素生成が必要なのか?

宇宙空間では、酸素が自然に存在しないため、地球からの輸送だけでは莫大なコストとリスクが伴います。特に、長期間の居住や探査を行うには、現地で酸素を自給する「ISRU(In-Situ Resource Utilization)」技術の開発が不可欠です。ISRUとは、「現地資源活用」の意味で、現地にある物質から必要な資源(酸素や水、燃料など)を作り出す技術を指します。

NASAのMOXIEプロジェクトとは?

NASAが進める代表的な酸素生成プロジェクトが「MOXIE(Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)」です。これは、2020年に打ち上げられた火星探査機「パーシビアランス(Perseverance)」に搭載された小型装置で、火星の大気(二酸化炭素が約96%)から酸素を生成する実験を行いました。

MOXIEは、CO₂を高温(約800℃)で電気分解することで、酸素と一酸化炭素に分離します。実験では、1時間あたり約6グラムの酸素生成に成功しており、これは宇宙飛行士が約10分間呼吸するのに必要な量に相当します。

月面での酸素生成技術

月には大気がほとんど存在しないため、月の表土(レゴリス)に含まれる酸素を利用する技術が注目されています。レゴリスは酸化ケイ素や酸化鉄などを多く含んでおり、化学的に酸素が結合して存在しています。

この酸素を取り出す方法としては、以下のような技術が研究されています:

  • 溶融電解法: 高温でレゴリスを溶融し、電気分解によって酸素を取り出す。
  • 水熱処理法: 水と高温の化学反応で酸化物から酸素を抽出する。
  • レーザー分解法: 高出力レーザーでレゴリスを加熱・分解し酸素を生成。

ESAや他国の動向

NASAだけでなく、欧州宇宙機関(ESA)や中国国家航天局(CNSA)も、酸素生成に関する技術開発を進めています。ESAでは酸素生成と金属精製を同時に行えるレゴリス電解炉の研究が進んでおり、CNSAも月面基地構想において「現地酸素生成」を最重要技術として掲げています。

将来的な応用とビジョン

将来的には、酸素生成は単に呼吸用だけでなく、ロケット燃料としての活用も期待されています。酸素と水素を反応させることで非常に高効率な燃焼が可能であり、現地で燃料を作り再利用することで、火星探査からの帰還も可能になるのです。

また、酸素生成技術は宇宙だけでなく、地球上でも活用が期待されています。都市の大気浄化、排気ガスの処理、災害時の酸素供給など、さまざまな応用が可能です。

まとめ:宇宙で呼吸できる未来がすぐそこに

酸素生成技術は、宇宙移住という壮大な夢を実現するための重要な鍵です。NASAのMOXIEをはじめとする各国の研究成果は、今後の人類の宇宙活動にとって非常に重要なステップとなるでしょう。

次世代の宇宙探査では、「持っていく」から「作る」への転換が進み、いよいよ宇宙に“呼吸できる世界”が広がっていくのです。

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