著作権の著作財産権の中にある『譲渡権・貸与権(たいよけん)』とは何か?
ざっくり内容を紹介しますとこうなります。
まず『譲渡権』とは
① 無断で公衆に『譲渡』されない権利。
② いったん適法に譲渡されたものについては権利が消滅。(店頭で売られている本やCDは既に譲渡権が消滅しているので転売は自由。)
③ 特定少数の人への譲渡には権利が働かない。(プレゼントするような場合。)
なるほど。
では『貸与権』とは
① 無断で公衆に『貸与』されない権利。
② 図書館による「本・音楽CDの貸し出し」の例外がある。
既に公表されている著作物であり、営利を目的としていない場合であり、貸与を受ける者から料金を受けない場合は貸与権侵害にならない。
③ ビデオライブラリー、図書館による「ビデオの貸し出し」などの場合の例外がある。
視聴覚資料の一般貸し出しを目的とする政令で定めた施設が行う、営利を目的とする施設でないところが行う、既に公表された映画の著作物を扱う、貸与を受ける者から料金を受けない場合、権利者に「補償金」を支払う場合に貸与権侵害にならない。
要は、売り買いとレンタルについての規定なのですが、結構複雑で面倒ですね・・・。
貸与権が著作権上でどの権利の中にあるかを図にしてみした。
右側の著作財産権の中にあります。
この辺を踏まえまして『譲渡権・貸与権の侵害とは何か?』について、例題を出して、それを解いていきながら紹介していこうと思います。
絵画の収集家が原作品を有償でレンタルした場合、貸与権の侵害になる?
ちょっと待ってくださいね・・・・。
要は、著作者じゃない者が著作物をレンタルしようとしていると。
絵画取集かだから、多分絵画は買っているんでしょう。
購入した絵画をレンタルして報酬を得る。
これが認められるのか?
う~ん・・・・。
だめじゃない?ダメだと思うけどな~。
著作権が購入者に移ってるかがこの例題ではわからないですが、購入者が著作権を持っていない場合は著作者の承諾が必要って感じかな・・・。
どうでしょう。
正解はこうなります。
貸与権の侵害になりません!!!
なんでやねん!絵画収集家がもうかりまくりやないかいいいいいいいい。
なんで?
著作権法の条文を見てみましょう。
(貸与権)第二十六条の三
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。
著作権法e-Gov法令検索
こうなってるんですよ・・・。
ちょっと分けわかりにくいんですが。
まず「映画著作物を除く」っていうのはですね、映画は、あの劇場で見る映画だけでなく「映像全般の著作物」っ認識でいいです。
つまり「映像全般の著作物を除く」って感じです。
なぜ除くかといいますと別の権利「頒布権」って権利で映像全般は規定してるんで除くよって事を言っているんです。
わかんねーわ!わかんねーぱ!!ずーっと記事書いてきてやっと少しわかってきたようなだわ!最初からそう書いてくれ!頒布権でやってるよってええええええええはやいだんかいで言えやああああああああくそがああああああああ。
ふう・・・。
とにかくですね、著作物の複製物のレンタルに権利が主張できるよってなってるんです!
えっ複製物だけなの??
原作品は対象じゃないの?
対象じゃないんです。
何でか知らんけど対象じゃないんです。
ですので絵画の場合は、絵画のコピー品なら貸与権が対象になるのかな?
絵画のコピーって何じゃ?写真とかかな?
絵画の写真とかをレンタルするには貸与権が及ぶって事かな・・・。
海賊版の音楽CDをそれを知りながら兄に譲渡したら譲渡権の侵害になる?
もう複雑。
海賊版がそもそも違反やんが頭から消えない・・・。
譲渡権とかどうでもいい・・・。
しかし、頑張りましょう。
ちょっと待て。
譲渡権の侵害にはならないんじゃないの?
またひっかけ問題で犯罪だけど譲渡権の侵害ではないみたいなイラつくやつ。
それかな?
答えを見ていきましょう。
正解はこうなっています。
『兄は公衆ではないので譲渡権違反ではない。』
そこかいいいいいいいいいいいいいいいいっ!
公衆じゃないからあああああああああ?確かにしかしいいいいいいいあああ。
じょ・・条文をまず条文を見ていきましょう。
(譲渡権)第二十六条の二
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
著作権法e-Gov法令検索
もういや。
読むのも嫌ですが・・・・。
ここで大事なのが、譲渡権の場合は『原作品又は複製物』ってなってるうううううううってとこですね。
最初の問題で貸与権で複製権だけが対象ですっていって騙されたのに、ここでは原作品も入るんかーい。
まずここですね・・・。
そして、公衆に対しても入っています。
なるほど、ここがポイントだったんですね。
『原作品・著作物・公衆』の場合に譲渡権が発動!!
ここだけ頭に入っとけば解けたんですね。
海賊版ってややこしい事を書くなやっ!
そっちに気を取られ樹海だわ。
とりあえずそういう事です。
あ、公衆はですね。
この表の真ん中に書いてます。
『不特定人又は特定多数人(一般的に50人以上)』こうだそうです。
今日は疲れたので終了します・・・・・。
まとめ
今回の内容をまとめてみたいと思います。
譲渡権侵害になる?ならない?貸与権侵害になる?ならない?
① 絵画の収集家が原作品を有償でレンタルした場合は? → 原作品の複製物ではないので貸与権侵害にはならない。
② 海賊版の音楽CDをそれを知りながら兄に譲渡した場合は? → 公衆ではないので譲渡権侵害にならない。
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