実演家の著作隣接権の『貸与権(たいよけん)』とは?

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著作権とは
画像出典:いらすとや

著作権法には『著作隣接権』という権利があります。

『著作隣接権』とは、著作物を創作しているとはいえないが「著作物の伝達に重要な役割を果たしている」方々に『著作権』のような権利が与えるよっていう権利です。

その『著作隣接権』を与えられている方々の中の一人に『実演家』がいます。

『実演家』とは、ずばり、俳優、芸能人、歌手、演奏家、演出家などの方々です。

この方々に与えられている『著作隣接権』はいくつかの権利が集まって出来ています。

各権利を図にするとこんな感じです。

今回は、この中の一番下『貸与権(たいよけん)』とはどんな権利なのかを紹介していきたいと思います。

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実演家の『貸与権』の条文は何て書いてあるの?

実演家の『貸与権』について、まずは著作権法の条文ではどう書いてあるか見てみましょう。

こんな感じです。

第二節 実演家の権利  第九十五条の三(貸与権等)

実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。

 前項の規定は、最初に販売された日から起算して一月以上十二月を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコード(複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む。以下「期間経過商業用レコード」という。)の貸与による場合には、適用しない。

 商業用レコードの公衆への貸与を営業として行う者(以下「貸レコード業者」という。)は、期間経過商業用レコードの貸与により実演を公衆に提供した場合には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。

 第九十五条第五項から第十四項までの規定は、前項の報酬を受ける権利について準用する。この場合において、同条第十項中「放送事業者等」とあり、及び同条第十二項中「第九十五条第一項の放送事業者等」とあるのは、「第九十五条の三第三項の貸レコード業者」と読み替えるものとする。

 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、前項において準用する第九十五条第五項の団体によつて行使することができる。

 第九十五条第七項から第十四項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合においては、第四項後段の規定を準用する。

著作権法e-Gov法令検索

相変わらず、条文が長いですね・・・・。

長いんです。

でも読みました。

わけわからんですが、何でわけわかんないんだろう?って考えたら、まず『貸与(たいよ)』が良くわかってないからだと分かりました。

『貸与(たいよ)』とは貸すって事です。

貸す、つまりレンタル!!

レンタルに関するルールか!

貸与権とはつまりレンタルする権利!!

『実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与より公衆に提供』

って、CDのレンタルじゃん!

『貸しレコード業者』ってツタヤやGEOじゃん!!

これでちょっと身近になりました。

つまり音楽CDのレンタル業社に対して行使する権利なのです。

映像と音楽の権利の違いは?

『映画(映像)の複製物DVDとか動画データ』と『音楽の複製物CDとか音楽配信データ』では、著作権法のどの権利で守られているかがちょっと違います。

こんがらがりそうなので、いったん図にしておこうと思います。

こんな感じになっています。

全体図を見てみますと、映画(映像)の著作物には『頒布権』があり、頒布権には「譲渡権」と「貸与権」が含まれています。

映画の著作物以外の著作物ついては譲渡権と貸与権が別々に存在しています。

レコード(音源のデータ)と、映画(映像データ)が分かれて説明されてるので分かりづらいんですが、映画(映像)の場合は『頒布権』の中に貸与権と同じような決まりが入ってるので、今回の『貸与権』の対象となってないんですね。

音楽のレンタルっていう商売が出てきた時に、『映像の頒布権』じゃ守り切れませんってなって、じゃあ映像以外は『貸与権』ってルールを別に作ってそっちでカバーしよう。

そんな感じですかね。

実演家の『貸与権』の条文を簡単にすると?

実演家の『貸与権』の条文を簡単にすると、ざっくりどんなことが書かれているのか。

条文だと分かりずらいんで、ざっくりでまとめてみたいと思います。

① 実演家は、その実演が録音されているCDのレンタルで公衆に提供する権利を専有する。

② 実演家は、CDが最初に販売された日から1年以内の音楽CDについて貸与権を専有している。

③ 販売から1年を経過したCDは許諾を得る必要はなく、ただ報酬規定に従って報酬を払えばよい。

こんな感じになっています。

要はCDレンタルするには実演家の許可を取って、尚且つ使用料を払ってねっていう決まりがあるって事ですね。

更に、利用料の支払いについても文化庁で指定した団体を通して行う決まりになっています。

レンタルCDの使用料金を支払う団体は3つあります。

① 楽曲の作詞家、作曲家にJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)を通じて支払う。

② 歌手や演奏家などにCPRA(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会)を通じて支払う。

③ レコード会社またはMPA(社団法人音楽出版社協会)にRIAJ(日本レコード協会)を通じて支払う。

この『実演家の貸与権』は、音楽CDだけに適用される規定でミュージックビデオなどは入ってないそうです。

まとめ

実演家の『貸与権』はどんな内容?

ざっくりでまとめますとこんな感じです。

① 実演家の演奏が収録されたCDを、レンタルCD店で取り扱うには許可が必要という権利。

② 音楽CDだけに適用される規定。

③ 貸与権は、CDの発売日から1年間のみ効力がある。

④ CD発売から1年以降は、レンタルCD業者に対して報酬を請求することができる。

⑤ 利用料の支払いは、文化庁で指定した団体を通して行う。

1.作詞家、作曲家への報酬→JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)を通じて。

2.歌手や演奏家などへの報酬→CPRA(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会)を通じて

3.レコード会社・MPA(社団法人音楽出版社協会)への報酬→RIAJ(日本レコード協会)を通じて

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