著作権の著作財産権の中にある『頒布権』とは何か?
頒布(はんぷ)と読みます。
まずここですね。
そしてざっくり内容を紹介しますとこうなります。
① 映画の著作物(映像全般の著作物)特有の権利で無断で公衆に『頒布』されない権利。
② 著作権法上の『頒布』とは、公衆向けに譲渡・貸与(たいよ)したりすること。
③ 著作権法上の『頒布権』は、映画の著作物(映像の著作物)は、譲渡・貸与する相手が特定少数であっても、公衆向けの上映を目的としている場合には権利が及ぶ。
④ 有償での頒布だけでなく無償の頒布も頒布権の対象
⑤ 『頒布権』のうち譲渡に関する部分は、いったん適法に譲渡された後には消滅する。
なるほど。
中々ややっこしい権利ですね。
要は『無断でDVDとかを譲ったり貸したり出来ないよ』って事です。
この頒布権が著作権の権利の中でどの位置にあるのかといいますと、著作財産権っていう権利の中にあります。
図で表すとこんな感じです。
この図の右側の右の列の上の方にあります。
この辺を踏まえまして『頒布権の侵害とは何か?』について、例題を出して解いていきながら、紹介していこうと思います。
映画の著作物の複製物を特定人にのみ貸与する場合は常に頒布権侵害にならない?
これもややっこしいですよね・・・・。
まず、頒布権は、映画の著作物に関する権利ですが、映画の著作物の複製物にも及ぶのか?
映画の著作物とは映像が録画されたものですので、「劇場版映画のフィルム」「映像のDVD」「ビデオの動画」「スマホの動画」「ネットで配信されてる動画データ」こんな感じでしょうか。
これの複製物ですので、要はコピーしたもの、ダビングしたものです。
ここに頒布権が及ぶのか?
この問題が一つと、もう一つ。
「特定人にのみ貸与」が公衆に頒布にあたるのか?
この二つですね。
どうでしょう。
まず複製物についてみていきましょう。
著作権法の条文はこう書いてあります。
(定義)第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。
著作権法e-Gov法令検索
条文内で、バチーンと複製物も対象になってます。
つまり複製権でも対象になるんです。
ここはクリアしました。
では「特定人にのみ貸与」はどうでしょう。
頒布権にはこんな考え方があります。
『譲渡・貸与する相手が特定少数であっても、公衆向けの上映を目的としている場合には権利が及ぶ』
ややっこしいですよ~。
頭が痛くなって嫌になりますが。
公衆向けの上映を目的に行う場合は、特定少数でも対象になるんです。
つまり正解は、常に頒布権侵害にならないとは言えない!
これが答えです。
なんかすっきりしないけどおおおおおおお。
腹が立つけどおおおおおおお。
そんな問題なんですよ、ごめんなさいね、なんかごめんなさいね。
『映画の著作物と、その複製物も対象で、相手が特定少数でも公衆向けの上映を目的に行う場合は対象』
まとめるとこれでしょうか・・・。
これが頭に入ってれば答えられるかな・・・・。
映画の著作物にあたるゲームソフトの購入者から買って中古で販売する場合許可はいる?
まず。
ゲームソフトも映画の著作物なんだ・・・。
ここですね。
映画の著作物になるらしいんですよ。
映画の著作物っていうと劇場版の映画を考えてしまうんですが映像全般の著作物を指すんですよね~。
ここが理解しにくい。
すぐ忘れる・・・。
まあそれは置いておいて。
『ゲームソフトの購入者から買って中古で販売する場合許可はいる?』これが、頒布権的に侵害してるんじゃないの?って事ですよね。
「ゲームソフト購入者から買う」って行為は、有償・無償問わず譲渡するって行為に当てはまると思うので、頒布権の対象って事になります。
え~。
ファミコン時代から無茶苦茶中古でゲームソフト売って、買ってを繰り返してきましたがな・・・・。
ゲーム制作者に許可なんて一度も取った事がありません・・・。
すいません。
お金ないんです・・・。
売って買って売って買って、売って売って・・・・・ううううう。
許してくださいいい。
どうなんでしょう?
違法だったんでしょうか??
知っらねえよ!知らねえから!こんちくしょおおおおおうう。
正解はこうなっております。
著作者へ許可はいりません!!
いらないんかーいいいいいいいいい!!
落ち込んだわ。
一瞬、犯罪だったかと思って落ち込んだわ。
その後、もうどうでも良くなり無茶苦茶になりそうになったわ。
とにかくこんな解釈になるのだそうです。
『ゲームソフトの頒布権は、購入者への最初の譲渡で消滅している』
ですので中古の販売時に著作者への許可はいらない。
なるほど・・・・。
分かったようなわからないような・・・・。
じゃあ最初の購入者は許可いるんけ?
うむ~・・・・・・。
小説が原作の映画にて小説の著作者は映画の複製物の頒布権を有するのか?
またまたまた。
ややっこしいぞ~。
誰が著作者かわかんなくなってきた・・・。
う~ん・・・・。
小説がまず著作物ですよね。
小説 → 著作物
映画 → 小説の二次的著作物
映画も著作物なんですけど、小説の二次的著作物でもあるんですよね。
小説の著作権 → 小説家
ここは分かります。
映画の著作権 → 映画の著作者?と小説家?
ここですね。
ここがどういう風に考えるのか?
正解はこうなっています。
小説家は映画の複製物の頒布権を有します!!
有するんです。
どいう考え方をするかといいますとこうです。
『原作品の著作者は二次的著作物の著作者の権利と同等の権利を持つ』
なるほどおおおおおおお・・・・。
そうかあああ。
ここだけ覚えとかないといけませんね。
小説家と映画の著作物、その頒布権の権利は誰が・・・でもうパニック!!
パニックになってしまいましたが、『原作品の著作者は二次的著作物の著作者の権利と同等の権利を持つ』が頭に入っていれば。
ああ、両方同等の権利ねってあっさりクリアできます。
まとめ
今回の内容をまとめてみたいと思います。
頒布権侵害になる?ならない?
① 映画の著作物の複製物を特定人にのみ貸与する場合は? → 映画の著作物の複製物も対象で、相手が特定少数でも公衆向けの上映を目的に行う場合は対象になる。
② ゲームソフトをソフト購入者から買って中古で販売する場合は著作者に承諾はいる? → 頒布権は、購入者への最初の譲渡で消滅しているので承諾はいらない。
③ 小説が原作の映画にて小説の著作者は映画の複製物の頒布権を有するのか? → 原作品の著作者は二次的著作物の著作者の権利と同等の権利を持つので頒布権を有する。
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