『著作権』という権利があります。
著作者が創作した著作物を勝手に他人が使ってそれで報酬を得るようなことが無いように、著作者に許必ず承諾を得ないといけませんよっていう決まりです。
その権利が守られないと安心して新たなものを創作しようと誰も思わなくなってしまいます。
ですので非常に大切な権利ですね。
そして、今回紹介するのは『著作隣接権』という権利です。
『著作隣接権』とは、著作物の創作はしていませんが「著作物の伝達に重要な役割を果たしている」という事で『著作権のような権利』を与えようという決まりです。
どんな方が『著作隣接権』の対象で、どんな権利が与えられているかというのを図にしてみました。
ちょっとでっかくなりすぎてますが、こんな感じです。
今日は、この中の一つ黄色く囲っている部分の『レコード制作者』の権利の一つを紹介します。
『レコード製作者』というのは、音楽CDや音源を製作してる会社とかですね。
この『レコード制作者』の権利の中で『譲渡権』とはいったいどんな権利なのかを紹介していきたいと思います。
レコード製作者の『譲渡権』の条文は何て書いてあるの?
レコード製作者の『譲渡権』について、まずは著作権法の条文ではどう書いてあるか見てみましょう。
第三節 レコード製作者の権利 第九十七条の二(譲渡権)
レコード製作者は、そのレコードをその複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
著作権法e-Gov法令検索
非常に短い条文で助かります。
まず『レコード』と『レコード製作者』は著作権法上でこんな意味とされています。
『レコード』とは「音源を最初にCD、テープ、パソコンのハードディスクなどに録音したもの」。
『レコード製作者』とは「音を最初にCD、テープ、パソコンのハードディスクなどに録音した会社など」。
こんな感じになります。
そして『譲渡』とは、「有償無償を問わず、特定の権利、財産又は法的地位を他人に移転させる行為」となっています。
これで条文の分からない言葉の意味が解ってきました。
『公衆』って何人の事?
この条文でもう一つよくわからない部分が『公衆』というこの部分が少しモヤっとしますね。
何人の事でしょう?
『公衆』は「不特定人」「特定多数人」の事らしいです。
つまり特定人・特定少数人は、対象外。
はい頭が痛くなてきましたね。
ここからがかなりややっこしいのですが。
まず公衆にあたる『不特定人』からいきましょう。
例えば、一人であっても、「誰でも対象となる」ような場合は、「不特定人」に当たります、つまり『公衆』です。
「誰か欲しい人はいませんか?」と言って希望した人に渡した場合も、「不特定人」になり『公衆』ということになります。
ややっこしい・・・・。
次にこれまた公衆にあたる『特定多数人』の方いきます。
例えば、「会員のみが対象なので、不特定の人向けではない、特定人です。」という理由で、公衆にならないので許可は取ってません!
という感じで会員制なら法律を逃れちゃうケースが出てきますので、そういう場合でも『公衆』に含ませるために、『特定多数人』という項目が入れられています。
何人以上が「多数」かはケースによって異なりますが、一般には「50人を超えれば多数」と言われているそうです。
では、『公衆』にならないケース「特定人・特定少数人」の方の説明です。
『特定少数人』とはどんな場合かといいますと、例えば「電話で話しているときに歌う」とか「子どもたちが両親の前で劇をする」といった場合には著作権の対象外です。
『特定少数人』の人数はケースによって異なりますが、一般には「50人を超えれば多数」と言われているそうですので50人以下の人数ならいいのかな?公衆に入らないのかなって感じです。
レコード製作者の『譲渡権』はどういう権利?
では本題に戻りまして、今までのを踏まえてレコード製作者の『譲渡権』の条文の意味を簡単にしていきましょう。
条文『レコード製作者は、そのレコードをその複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。』
これでしたね。
これを簡単にしますと。
『レコード製作者が作成した音楽CDやデーターのコピーを「不特定人」や「特定多数人」に提供する場合はレコード製作者の承諾が必要』
こんな感じでしょうか。
更にこの権利は、いったん適法に譲渡されたCDなどについてはなくなりますので、購入したCDなどの転売は自由にできるとなっています。
まとめ
レコード製作者の『譲渡権』はどんな内容?
ざっくりでまとめますとこんな感じです。
① CD、音源データ等を作成した会社の作成した音楽CDやデーターのコピーを「不特定人」や「特定多数人」に提供する場合は、その製作会社の承諾が必要。
② いったん適法に譲渡されたCDなどについては譲渡権はなくなるので、購入したCDなどの転売は承諾なく出来る。
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