今回は、『二次的著作物の利用に関する権利』についてです。
長いですね~。
何それ?ってなりそうですが。
著作権の中の権利の一つになります。
著作権の中にある細かい権利を『支分権』といいまして、その中の一つの権利が『二次的著作物の利用に関する権利』になります。
分かりずらいので一覧を図にしてみました。
一番右側に列の下から二番目!
緑色で覆われたやつです。
この『二次的著作物の利用に関する権利』について調べてみたので紹介致します。
著作権法には二次的著作物について何て書いてあるの?
そもそも、二次的著作物とは何ぞや?
ここからですよね~。
普段、二次的著作物なんて言葉使いませんから、よくわかりません。
そこでやはり条文を確認しないといけません。
まず、二次的著作物とは何ぞや?について、著作権法の条文を見ますとこんな感じになっています。
2条1項11条 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
著作権法e-Gov法令検索
「翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案」ってここがわからんわい!ってなりますよね。
それぞれの言葉の意味はこんな感じになっています。
つまりですね・・・。
原作品の著作物を元に、上記のようなことをした場合、それは複製(コピー)ではなく、新たな著作物として認めます、しかし、二次的に生み出された著作物なので、『二次的著作物』って呼び名にしますね。
こんな感じなルールを決めているって事ですね。
ここまでわかったところで次に、
この二次的著作物に対する権利はどうなっているの?誰にどんな権利があるの?
この辺の部分を条文ではどうなっているか見ていきたいと思います。
第二十七条 (翻訳権、翻案権等)著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
第二十八条 (二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款(かん)に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
著作権法e-Gov法令検索
二次的著作物に対する権利はこうなっておりまして。
要は、二次的著作物の著作者が持つ権利と同じ権利を原著作物の著作者も持っている。
という事と、著作物を翻案などをする権利は、その著作物の著作者、つまり原著作物の著作者が持っているって事ですね。
二次的著作物を造るには原著作物の著作者の承諾が必要で、造った後も原著作物の著作者は、二次的著作物に対しても権利を持つ!
こうかな?簡単になったかな??微妙ですね・・・。
では、いくつか例題で見ていきましょう。
絵画を彫刻にする場合、絵画の著作者に許可は必要?
これは割と簡単に考えちゃって良いパターンですね。
最初に紹介した、二次的創作物にあたる行為の中の『変形』に該当しますから。
原著作物の著作者に許可が必要です!
小説を元に脚本を執筆、その脚本で映画を製作の場合は誰に許可を取る?
このパターンは、『小説家』と『脚本家』が著作者になりそうですね。
小説家が原著作物の著作者。
脚本家は二次的著作物の著作者。
小説家は、脚本の権利も持ちますから、『脚本』を元に映画をつくる場合でも、小説家に許可を取る必要があるような気がします。
つまり、『小説家』と『脚本家』の両方の許可がいる!
これが正解になります。
両者に許可を得てようやく映画化できるんですね・・・。
大変。
フランス語原作の小説を翻訳した日本語版を出版する場合、誰に許可を取る?
これも先ほどのパターンと同じ感じですね。
フランス語の原作小説の『小説家』と日本語版に翻訳した『翻訳家』。
この二人の著作者がいます。
今回出版したいのは、日本語版の小説ですので、やはり両方の方作品を使わせて頂かないと完成しません。
という事で、この場合もフランス語の原作小説の『小説家』と日本語版に翻訳した『翻訳家』両方の方々に許可を取る必要があります。
まとめ
著作権の支分権の『二次的著作物の利用に関する権利』とは。
1⃣ 二次的著作物とは、著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案することにより創作した著作物。
2⃣ 二次的著作物をつくるには、原著作物の著作者の承諾が必要、原著作物の著作者は、二次的著作物に対しても権利を持つ!
ざっくりとこんな感じですね。
例題をまとめますと・・・。
① 絵画を彫刻にする場合。
『変形』にあたり二次的著作物になるので絵画の著作者に許可が必要。
② 小説を元に脚本を書きそれを元に映画を製作する場合。
『小説家』『脚本家』の両方に許可が必要。
③ フランス語の小説とそれを翻訳した文があり、日本語版の小説を出版したい場合。
『小説家』と『翻訳家』の両方に許可が必要。
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