著作権という権利は、支分権と言う更に細かい権利の集まりからなっています。
図で紹介しますとこんな感じです。
この中で本日紹介するのは、右側の列。
著作権の中の著作権(著作財産権)の中の『上映権』というのがどういう権利か?
例題を交えて紹介していきます。
著作権法では上映権は何て書いてあるの?
まず、大元となるルール、著作権法には上映権についてどう書いてあるのかを見ていきたいと思います。
こういう風に決められています。
第二十二条の二 (上映権)著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。
著作権法e-Gov法令検索
シンプル!!
非常にシンプルです。
これだけです。
しかしこれだけではわかりにくいですよね。
そこで、上映とはどういう事をいうか、これも条文になっています。
こうです。
2条1項17条 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。
著作権法e-Gov法令検索
え~と、ちょっと難しいのですが。
まず、(公衆送信されるものは除く。)と書いてあるのは、公衆送信専用の権利があってそっちで定めているので省きますって事です。
そして、何が上映にあたるかと言いますと要はですね。
スクリーンで写すもの、テレビで写すもの、パソコン画面で写すもの、タブレット?、スマホ?
全部含みます。
著作物をプロジェクターに映してプレゼンする行為も含みます。
社内LANを通じて会議の場でパソコンやスクリーンに写真や資料を映して共有する行為も含まれます。
映像だけでなくバックで流れるサウンドトラックなども含まれます!
って事が書いてあります。
すべて著作者・著作権者が権利を占有してますので承諾が必要です!と言っているんですね。
いや~びっくり。
結構知らずやっちゃってますよね。
著作権の上映権侵害です!って言われちゃうんですね。
では、いくつか例題で見ていきましょう。
自宅で家族とDVDを観る行為も上映権侵害?
ちょっと気になりますよね。
でもこれがダメなら、もう死にたい。
生きているのがつまらないってなりますよね。
この行為は、著作者に許可を取らなくても上映権侵害にならないそうです!
はい良かった。
上映権では「公に上映」が対象だそうで、家族で観る分には公に入らないそうです。
なるほど。
飲食店で大型テレビで映画のDVDを流すのは上映権侵害?
これもすごくよくあるパターンですよね。
何か、お店側も著作者側も両方の利益になるんじゃないだろうか?と思ってしまいますが・・。
これはダメです!
著作権の上映権侵害になりますので、著作者の許可が必要です!
ひょえ~そうなんだ。
DVD買ったのに?ダメなんだ・・・。
ダメなんです。
病院の待合室でテレビ放送中のドラマを大型テレビで流すのは上映権侵害?
これもよく見かけるといいますか、待つことが多い病院では結構な確率でテレビがありますよね。
そして、地上波テレビ放送がよく流れてます。
『病院の待合室でテレビ放送が50インチ大型テレビで流れていた場合!』
これって上映権侵害で違法なのでしょうか?
これって実はすごくわかりにくいし難しいんですけど。
腹が立つんですけど・・・。でもまあ。
順番に説明していきましょう。
まずここから、
原則的には
① 上映権の侵害にはならないが「公衆送信権・放送権」の侵害にはなる。
しかし、
② テレビ番組を第三者に見せる行為には違法にならない例外が広く設けられている。
例外1 非営利・無償・利益は得るがテレビを見せた対価とはいえない、この場合みせてOK。
例外2 54インチ以下のテレビならOK。(例外1の条件関係なくOK)
こうなっています。
つまり今回のケースは、この例外2に該当するから、著作権の公衆送信権侵害にはならない!って事になります。
あれ?
今回は上映権の話でしたので、上記のパターンの場合、公衆送信権で裁くから『上映権の侵害には』ならない。が正解かな。
そして、「テレビ放送を第三者に見せる場合の例外規定」によって公衆送信権の侵害にもならない!
ですので、著作権侵害じゃなーい。
これですっきりですね。
なんて面倒なんでしょう。
例外って何だよ・・。
何でもありかよ・・・ぶつぶつ。
とにかくこうなっています。
奥が深いですね~。
公衆送信権の詳細は次回詳しく紹介します。
まとめ
著作権の支分権の『上映権』とは。
著作者が著作物を公に上映する行為を独占できる権利!
① 自宅でDVDを見る行為は。
公に上映にあたらないので上映権の侵害にならない。
② お店でDVDやCDを流す場合。
たとえ購入したDVDやCDでも個人の使用の範囲を超えるので上映権侵害になる。
③ 病院でテレビ放送を家庭用テレビで流す場合。
上映権には該当せずなので、上映権侵害ではない。
公衆送信権の侵害にはなるが、例外規定により侵害対象にはならない。
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