著作権とは、著作物を勝手に他人に使われないようにする権利です。
その著作権にも細かい権利があります。
図にするとこんな感じになります。
こんな感じに細かく細かく分かれています。
この著作権の中で譲渡とか相続とかができない権利があります。
それが『著作人格権』といって著作者にずっと与えられている権利です。
例え著作物を誰かに売ってしまっても著作人格権の権利だけは著作者に残るのです。
なるほどなるほど。
その著作者人格権の中の『公表権』について今回は紹介していきます。
『公表権』って何?
これですね。
まずこれです。
公表権とは『まだ公表されていない自分の著作物について、それを「公表するかしないかを決定できる権利』。
ざっくりこうなっています。
これを踏まえたうえで、いくつかの例題を見ながら理解していきたいと思います。
未公表の彫刻の購入者が著作者の許可なく展示会に展示したら公表権侵害?
これどうでしょう?
彫刻を購入しているんだから、展示会に出しちゃっても良いような気がしないでもないですが・・・。
う~ん。
どうでしょう。
この正解はこうなっています。
公表権侵害にはなりません!!
そうなの!なんで?
では、とりあえず条文を見てみましょう。
第二款 著作者人格権 (公表権) 第十八条
二項 著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものと推定する。
二号 その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合 これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
著作権法e-Gov法令検索
こうなっているんですよ。
要は『公表してない著作物を譲渡した場合は、公衆に展示する行為に同意したと推定される。』
ってなってるんです。
著作物を売った後に、その購入者が公衆に提示することに対して文句は言えないんですね。
つまり著作権の著作人格権の公表権の侵害にならないって事です!
なるほどなるほど。
友人から送られてきたメールの内容を無断でサイトに掲載したら公表権侵害?
むず~。
難しいな・・・・。
メールは著作物か?
思想・感情で書いてるから著作物になるかも。
でもメールで送った時点で譲渡になるのか?
そもそもメールで送るって事は公表されても良いって事なのか??
すいません、わかりません・・・。
考えれば考えるほど樹海に迷い込んでもうここがどこだかわかりません。
早く正解を教えて下さい。もう死にそうです。
では、正解はこうなっております。
『メールが未公表の著作物である場合、友人の同意を得ないと公表権侵害になる場合がある』
なるほど・・・・。
なるほどね、ふわふわなやつね。
メールが著作権かの議論をしないタイプね。
メールが著作権かどうか、未公表かどうかは、その場その場で判断するとして、とにかく公表権侵害になる場合もある。
場合もあるって事。
なるほどね・・・。
むかつく。
樹海に迷い込んじまったよくそががあああああああ。
むかつく答えだね、でもこういう問題を出すんだね。
ああああああああああああ。
イライラするやつね。はいはい。
市販されている漫画を原作に映画を作製して漫画家の同意を得ないで公表したら公表権侵害?
これがですね。
かなりいやらしい問題なんです。
まず条文はこう書いてあります。
第二款 著作者人格権(公表権)第十八条
1項 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
著作権法e-Gov法令検索
結局ですね。
『公表権』は、公表前の著作物についての規定なのです。
そして公表前の著作物に対する二次的著作物(漫画を映画化したり)に対してだけ公表権が働きます。
今回の例題は『市販されてる漫画』ですので公表されている著作物になります。
つまり正解は、公表権侵害にならないんです。
『市販されている漫画を映画化して許可なく公表しても公表権侵害にはならない。』
もちろん勝手に映画化は出来ません。
著作者に映画化の許可を得ないとダメですが、それは公表権ではなく他の著作権の権利で守られいます。
あくまで今回は公表権だけを見ての質問ですので、侵害にならないって事ですね。
何て意地悪な引っかけっ!!
しかし、こんな問題ばっかですので、罠にはまらないように、馴れていきましょう・・・。
まとめ
今回の内容をまとめてみたいと思います。
これって公表権侵害になる?ならない?
① 未公表の彫刻の購入者が許可なく展示会に展示したら? → 公表してない著作物を譲渡した場合は、公衆に展示する行為に同意したと推定されるので公表権侵害にならない。
② 友人から送られてきたメールの内容を無断でサイトに掲載したら? → メールが未公表の著作物である場合、友人の同意を得ないと公表権侵害になる場合がある。
③ 市販されている漫画を原作に映画を作製して漫画家の同意を得ないで公表したら? → 公表されている漫画の映画を許可なく公表しても公表権侵害にはならない。
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