著作権法においての『映画の著作物』の意味がちょっと特殊で難しかった件について

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著作権とは
画像出典:Pixabay

著作権について勉強してますと、『映画の著作権』って言葉が出て来るんですよ。

あ~映画ね。

映画って言うとお金払ってスクリーンで見るあのやつ。

劇場で見るあの映画を思い浮かべますが、著作権法上の映画ってちょっと違う感じだったので、ちょっとその辺を紹介しておきます。

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映画は劇場版の映画って意味だけじゃなかった

著作権法の条文を見てみますとこんな感じになっています。

第十条 (著作物の例示)この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。略

 映画の著作物

著作権法e-Gov法令検索

ちょっと省略しましたが、著作物の例示の七つ目に『映画の著作物』となぜか映画だけ具体的に名指しで入ってるんですよね。

何で映画だけ特別なのだろう?古くない?テレビもあるし、テレビすら古いし、今はスマホやタブレットで動画見てるし・・・。

古い法律だからかな?

イメージわきにくいな・・。

って思ってたんですけど。

もう一つこんな条文が。

2条3項 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

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結局ですね、劇場で見れる映画だけでなく映像画といいますか、例えばビデオテープ、DVD、録画動画、インターネット上の動画、多分ユーチューブ動画も含むと思う。

つまり、思想又は感情を込めて創作した映像動画が『映画の著作物』って事になると思われます。

わかりずらいな~。

法律の条文って何でこんな分かりづらいんだろうって何回も思います。

『映画の著作物』の「著作者」と「著作者権者」は誰になる?

『映画の著作物』にある特別な規定として「著作者・著作権者」が誰になるか?

というのがあります。

「著作者」「著作権者」の違いは何かといいますと、著作者は、著作物を創作した人です。

著作権者は、著作者から「著作財産権」を譲渡されたり、相続したりした人。

これが通常の「著作者・著作権者」の関係です。

図にするとこんな感じです。

著作財産権は譲れるけど、著作人格権は著作者に残るっていうやつですね。

では、映画の著作物の場合は何が違うのでしょうか?

確かに、大勢で造る作品なので誰が著作者になるのでしょうか。

ここでもこんな条文があります。

第十六条 映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。

著作権法e-Gov法律検索

え~と。

つまりですね。

『著作者』は映画監督、プロデューサー、チーフカメラマン、美術監督、などの各担当の長的な人になります。

総監督がいれば総監督が著作者だそうです。

しかし、ここでもう一つややっこしいものがあります。

上記の監督やプロデューサーが、『映画製作会社の業務として職務上映画を製作した場合』は映画製作会社が著作者になるそうです。

なるほど。

全部権利をもってっちゃうって事ですね。

では、映画の著作物の著作権者の考え方は?

『映画の著作物』の「著作権者」は誰になる?

『著作権者』は経済的な利益を得る権利でしたよね。

『映画の著作物の著作権者』の場合どうなっているかといいますと。

とりあえずまた条文を見てみましょう。

ちょっとあまりにも長いんで途中省略している部分があります。

ざっくりこんな条文になっているという感じで読んでください。

第二十九条 映画の著作物の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。

 専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。

 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、自動公衆送信を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利

 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利

 専ら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属する。

 その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利

 その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利

著作権法e-Gov法令検索

長いし複雑。

ほんとはもっと長いですから、省略してこれです。

要はですね。こういうことを言ってるんだそうです。

① 監督などが映画製作会社の職務上行った場合は『映画会社』が著作者で著作権を持つ。

② 職務上でない場合、監督等が著作者になり著作権者が『映画製作者』になる。

③ 映画製作者には、公に放送で流す権利、頒布(たくさん配る)の権利がある。

じゃあ『映画製作者』って誰?

映画製作者は、「自己経済負担によって映画の製作を企画・スケジューリングを行う者」。

え?誰だって??ってなる説明ですよね。

今で言いますと「なんとか製作委員会」って言うらしいです。

要はその映画に対して出資してる会社のグループらしいです。

まだわかりづらいんで、具体的に言いますと。

①映画配給会社

②DVD製造会社

③テレビ放送会社

④インターネット配信会社

などなどだそうです。なるほど!ここまでくるとわかります。

著作者は監督たち。

著作権者(経済的利益を得る権利)は各会社が集まった製作委員会。

簡単に言うとこんな感じって事ですね~。

映画の元となった漫画や小説の権利は?

原作があってそれを元に造られた映画の場合。

その映画は2次的著作物になります。

2次的著作物は、著作物を元に新たに創作性を足して作った著作物です。

コピーではなく、思想・感情を込めて創られたものですね。

2次的著作物にも紹介してきた著作権・著作人格権が与えられるんですが、同じ権利を元の著作物の著作者も持つというルールになっています。

つまり、すべて元の作品の著作者に承諾を得るルールになっているので原作者の権利も守られるってことですね。

まとめ

『映画の著作物』の著作者・著作権者は誰か?

① 監督などが映画製作会社の職務上行った場合は『映画会社』が著作者。

② 職務上でない場合、監督等が『著作者』になり、映画製作委員会(映画配給会社・DVD製造販売会社・テレビ放送会社・インターネット配信会社など)が『著作権者』になる。

更に、各会社には公に放送する権利、頒布権が与えられる。

こんな感じでしょうか~。

後は、原作者には原作物の著作権があるので、原作を元に造る場合は原作者に許可を取らないと著作権侵害で訴えられますよ~って事になっています!!

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