著作権という権利があります。
誰かが新しいものを創作した時に、その創作物を創作者の許可なく他人が使用できないようにする為の権利です。
創作した人、著作者の権利を図にするとこんな感じになります。
著作権には大きく『著作人格権』と『著作財産権』の二つの権利に分かれます。
ざっくり、「名誉の権利」と「お金の権利」という感じに分かれます。
「お金の権利の著作財産権」は相続したり譲渡したりできる権利。
「名誉の権利の著作人格権」は相続したり譲渡したりできない、著作者がずっと持ち続けられる権利です。
今回はその著作者人格権の中の『氏名表示権』について紹介しようと思います。
『氏名表示権』ってぶっちゃけ何?
これですね。
まずここが分かんないよって感じですね。
氏名表示権とは『自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、するとすれば、実名か変名かを決めることができる権利』。
ざっくりこうなっています。
これを踏まえたうえで、いくつかの例題を見ながら紹介していきたいと思います。
氏名表示権は著作物の原作品にのみ及ぶ権利なの?
著作物の原作品とは、一番大元の著作物って事ですね。
大元の著作物以外の著作物とは、一番大元の著作物の「二次的著作物(漫画を映画化など)」などです。
この辺の著作物には氏名表示権は及ばないの?原作品だけなの?っていう問題ですね。
う~む。
どうでしょう・・・・。
とりあえずこの問いに関連した著作権法の条文を見てみましょう。
(氏名表示権) 第十九条
著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。
その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
著作権法e-Gov法令検索
条文にきっちり書かれています。
2行目にですね『その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。』って書いてるんです。
なるほどなるほど。
つまり正解は、原作品以外にも氏名表示権が及ぶって感じになります。
著作者名を表示しない場合は氏名表示権の権利は及ばないの?
これもですね~。
先ほどの条文に書いてありまして。
『著作者名を表示するか?表示しないか?も氏名表示権で著作者が決めれる。』
こうなっております。
著作者名表示しないから著作者に許可取らなくていいわけじゃないんです。
著作者名を表示するしないも著作者に氏名表示権という権利で与えられています。
著作者名の表示を著作者に無断で省略しても良い場合があるの?
これは難しいですね・・・・。
無いでしょうよそんな場合。
先ほどの条文を見る上ではなさそうだけどな・・・・。
でもですね、紹介した19条条文は1項だけで、1~4項もあるんです。
そして3項にこんなことが書かれています。
(氏名表示権) 第十九条
3項 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。
著作権法e-Gov法令検索
さっきさんざん著作者に氏名表示権の権利があるぞおおおお。
って言ってきたのに・・・・。
なんでひっくりかえすん?
つまり『利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。』って事は、承諾いらんの?許可取らなくていいの??
公正な慣行に反しないって誰が決めるん??
などと言っても始まりません。
大丈夫です。
もう限界です・・・・。
いや大丈夫です、頑張ります。
例えば、ホテルのロビーでBGMを流している場合に、いちいち作曲者名をアナウンスする必要はないと。
そういう事のようです・・・。
どういう事?BGMだからいいの??
やめましょう、深く考えるのはやめましょう・・・・。
まとめ
今回の内容をまとめてみたいと思います。
氏名表示権の侵害になる?ならない?
① 氏名表示権は著作物の原作品にのみ及ぶ権利なの? → 二次的著作物にも及びます。
② 著作者名を表示しない場合は氏名表示権の権利は及ばないの? → 著作者名を表示するか、しないかも著作者が決めれる。
③ 著作者名の表示を著作者に無断で省略しても良い場合があるの? → 著作者の利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。
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