実演家の著作隣接権の『氏名表示権』とは?著作者の氏名表示権とどう違うの?

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著作権とは
画像出典:いらすとや

『実演家』とは、俳優さん、歌手さん、演奏さん、演出家さんなどなどです。

『実演家』の場合は個人になりますが、各方々に著作権に似たような『著作隣接権』という権利が与えられています。

例えば演奏した動画や音源、演技したドラマ・舞台などを他者が無断で使用することを防いだりする権利です。

結構いっぱい権利を持っているのですが、表にするとこんな感じになります。

今回は、この中の『氏名表示権』とはどんな権利なのか、著作者の氏名表示権とどう違うのかを紹介したいと思います。

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著作者の『氏名表示権』の条文は何て書いてあるの?

2つとも『氏名表示権』って名前の権利で著作権法で定められていますが、著作者と実演家で少し内容が違うようなので、どいう違いがあるのか見ていきたいと思います。

著作権法の条文を見てみましょう!

まずは、『著作者の氏名表示権』

第十九条 (氏名表示権) 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。

その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

著作権法e-Gov法令検索

ざっくり説明しますと、著作者は、創作した著作物や複製物に対し著作者名を表示するか、しないか、ペンネームか実名か?を決めれる権利って感じです。

更に、漫画が映画化した時の映画(二次的著作物)に対しても原作者を表示するかを決めれる。

こんな感じの権利が書かれていまして、この19条は上記の1項に加えて2~4項があり、そこには例外が記載されています。

ざっくりこんな感じです。

例外

① 既に使用されているペンネームなどを使用する場合は、許可はいらないが、著作者がダメだよって言ったらダメ。

② 公正な慣行に反しない限度で省略が可能。

お店のBGMとして楽曲を演奏するなどの時にいちいち誰の曲とか表示しなくていい。

③ 行政機関が情報公開法に基づき公開されるときは許可いらず。

ざっくりこんな決まりになっています。

「公正な慣行に反しない」の線引きが私にはよくわかりませんが、でもこうなっています。

では次に、『実演家』の氏名表示権の条文を見ていきます。

実演家の『氏名表示権』の条文は何て書いてあるの?

『実演家の氏名表示権』の条文はこうなっています。

第二節 実演家の権利  第九十条の二(氏名表示権)

実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。

著作権法e-Gov法令検索

こんな感じの権利が書かれています。

『著作物』が『実演』に変わっただけで、大体おんなじ内容が記載されています。

この90条にも上記の1項に加えて2~4項があり、そこに例外が記載されています。

① 実演家の別段の意思表示がない限り、既に実演家が表示している実演家名を表示可能。

② 実演家名の表示は、実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。

③ 行政機関が情報公開法に基づき公開されるときは許可いらず。

ざっくりとこんな感じになっています。 

『著作者の氏名表示権』と『実演家の氏名表示権』の違いは?

『著作者の氏名表示権』と『実演家の氏名表示権』は、比べてみても大体おんなじことが記載されていました。

違いは、例外のところかな・・・・。

『著作者の氏名表示権』の例外の一つに、「公正な慣行に反しない限度で省略が可能。」というのがありました。

この部分が『実演家の氏名表示権』になると、「実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。」

この部分を比べますと、『実演家』の場合の氏名表示権は「利益を害さなければ」実演家の名前の表示を省略できるってところが少し緩くなってますかね~。

エキストラさんとかがそうなんですかね・・・。

いちいち全員に許可取ってたら大変ですもんね。

まとめ

『著作者の氏名表示権』と『実演家の氏名表示権』の内容と違いは?

ざっくりですがこうなっています。

1⃣ 著作者の氏名表示権

① 著作者は、創作した著作物や複製物に対し著作者名を表示する・しないを決めれる。

② 表示するとしてもペンネームか実名か等を決めれる。

③ 二次的著作物に対しても原作者を表示するか・しないかなどを決めれる。

④ こんな場合は、著作者への許可や氏名表示を省略できる。

既に使用されているペンネームなどを使用する場合。ただし著作者がダメだよって言ったらダメ。

公正な慣行に反しない限度で省略が可能。

行政機関が情報公開法に基づき公開されるときは許可いらず。

2⃣ 実演家の氏名表示権

著作物→実演  

実名・ペンネーム→氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名

上記を置き換えれば内容はほぼ同じ。

一つ違うのが許可を得なくてよい例外として『実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき省略することができる。』という項目が増えている。

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