著作権法には『著作隣接権』という権利があります。
著作物を創作しているとは言えないのですが、「著作物の伝達に重要な役割を果たしている」という事で『著作権』のような権利が与えられています。
『著作隣接権』を与えられている方々の一人に『実演家』がいます。
著作権法上で『実演』とは、著作物を演劇的に演じたり歌ったり演出したりする人及び著作物を演じないが芸能的な性質を有する方々。
『実演家』とは、俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者となっています。
要は俳優さん・芸能人、歌手、演奏家、演出家などの方々ですね。
この方々に与えられている『著作隣接権』はいくつかの権利の集まりなのですが、各権利を図にするとこんな感じになっています。
今回は、この中の上から6番目『商業用レコードの二次使用料を受ける権利』とはどんな権利なのかを紹介していきます。
実演家の『商業用レコードの二次使用料を受ける権利』の条文は何て書いてあるの?
そもそも『商業用レコードの二次使用料を受ける権利』って何なのでしょうか?
何かわかるようなわからないようななので、まず著作権法の条文はどんなことが書いてあるか見てみましょう。
第二節 実演家の権利 第九十五条(商業用レコードの二次使用料を受ける権利)
放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコード(送信可能化されたレコードを含む。第九十七条第一項及び第三項において同じ。)を用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
著作権法e-Gov法令検索
血を吐くほど文が長い・・・・。
もう血を吐いておる。
半分読み終わったくらいで血を吐いておるよ・・・。
上記の95条の条文は、1項であってこんなのが14項もあるんです。
全部載せてたら、貧血になるのでやめます。
とにかく一個だけ気になるのが『レコード』て何?
あの古き時代のレコード盤のレコード?針で刺してクルクル回るあれ?
その辺からまず調べていこうと思います。
著作権法上の『レコード』ってあのくるくる回るレコード?
この『レコード』って何のことか?
これも条文で見てみます。
第二条 五(レコード)
蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
第二条 七(商業用レコード)
市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。
著作権法e-Gov法令検索
ざっくりいきますよ。
『レコード』とは、テープ、CD、ハードディスクなどの物に音を固定(録音)したものです!
つまり、DVDとかの画像は入ってないって事ですね。
あくまで音のデータ。
では、『商業用レコード』とは。
市販の目的で製作される音データの複製物をいいます。
ざっくりでいいますと、CD、カセットテープ、オルゴールなどが商業用レコードにあたります!
実演家の『商業用レコードの二次使用料を受ける権利』って簡単に言うと何?
条文を読むと血を吐く身体になってしまってるので、もう簡単に、条文を簡単にしたものをざっくり紹介したいと思います。
要はですね。
『実演家』に実演の使用料をちゃんと払ってね、の決まりです。
正確には『実演家』と『レコード製作者』に払ってねって事のようです。
つまり、市販の目的で製作されたCDとか配信の音源とかを使った放送局や有線放送局は、『実演家』『レコード製作者』にそれぞれ二次使用料を支払わなければいけないっていうルールが書かれているのだそうです。
そして、お金を払わなくていい条件とか例外が記載されているのであんなに条文が長かったんですね。
とにかく今は、使用料を払うって事が『商業用レコードの二次使用料を受ける権利』で決められてるって事を覚えましょう。
更に、二次使用料を受ける権利は文化庁長官が指定した団体を通じてのみ行使することが出来る、という決まりもあるらしく。
レコード製作者は、一般社団法人日本レコード協会を通して、二次使用料の徴収と分配を行っていて、実演家は、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会を通して二次使用料の徴収と分配を行っているのだそうです。
まとめ
実演家の『商業用レコードの二次使用料を受ける権利』とはどんな内容?
ざっくりでまとめますとこんな感じです。
① 市販の目的で製作されたCDとか配信の音源とかを使った放送局や有線放送局は、『実演家』『レコード製作者』にそれぞれ二次使用料を支払わなければいけないという権利。
② 二次使用料を受ける権利は文化庁長官が指定した団体を通じてのみ行使することが出来る。
③ 実演家は「公益社団法人日本芸能実演家団体協議会」を通して二次使用料の徴収と分配を行っている。
こんな感じでしょうか・・・・。
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