著作権には2つの権利があります。
『著作権』と『著作者人格権』です。
え?いやいや『著作権』二つ出ちゃってる意味わかんない・・・。
ってなりますよね。
『著作権』の中に『著作権』があるんですよ。
広義な、大きな枠で見た『著作権』の中に『著作権(狭い意味で)と著作人格権』っていう権利が入ってます。
世の中でよく使う著作権侵害とかは、広い意味での『著作権』を指していると思われます。
『著作権(狭い意味で)』と『著作人格権』の違いは、譲渡・相続できるのが『著作権(狭い意味の)』、『著作人格権』は他人に譲渡・相続できません。
つまり著作物を創作したその人だけの権利です!
名誉といいますか。
今日は『著作人格権』の中にある細かい権利などを紹介していきます。
『著作権(狭い意味)』はお金、『著作人格権』は名誉って感じかな?
『著作権(狭い)』と『著作人格権』の違いについてもうちょこっと。
図にするとこんな感じです。
著作権ごと権利を売るとか、お金に関する事で『著作権(狭)』は使いますね。
相続したご家族とか、譲渡された会社とかが収益を得るみたいな。
では『著作人格権』には、どんな特徴があるか見ていきたいと思います。
『著作人格権』の中には3つの権利があります。
『著作人格権』が持つ3つの権利「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」
図にするとこんな感じですかね。
それぞれの権利はざっくりこんな感じになっています。
① 公表権
未公表の著作物を公衆に提供・提示するかを決める権利。
② 氏名表示権
著作物に実名や変名を著作者として表示するかどうか、それらを表示する・しないを決める権利。
③ 同一性保持権
著作物の改変、タイトルの変更など許可なくさせない権利。
なるほど、何となくこんな感じの権利は、著作者は持ってそうだな~とか、持ってるべきだよな~と思うような内容ですよね。
でも文字にするとかたっ苦しいですね。
個別にもう少し詳しく紹介していきます。
『著作人格権』の中の「公表権」とは?
『公表権』の内容をかみ砕いていきますと。
著作者がある物をこっそり創作して、部屋に置いておいた。その著作物を誰かが発見して勝手に公表してしまった。
この行為に対して著作者は、勝手に発表した人を公表権の侵害で訴えれるって事ですね。
勝手にした「公表」とはどういう行為を言うのかも決まっています。
① 発行する事。(相当部数の複製物を作成し頒布、広く分けて配る事。)
② 上演、演奏、上映、公衆送信、送信可能化、口述、展示の方法で公衆に提示する事。
公衆送信・送信可能化は、ようはインターネットの事ですね。
「公衆送信」はインターネット上で公開する、「送信可能化」はインターネット上にアップされていて検索すると閲覧できる状態って考えるとわかりやすいです。
未公表の著作物を他人に公表されても公表権侵害にならない例外もいくつかあります。
著作者本人が同意したと推定される場合には公表権侵害にならない例がこちら。
① 著作権の著作物を譲渡した場合。
② 美術・写真の著作物自体を譲渡した場合。
③ 映画の場合で、著作者は監督、著作権者は映画製作者と事前に決まっていた場合著作権者の映画製作者が公表することもできる。
しかし、事前に著作者が公表に同意しなかったら①~③のケースでもダメです。
④だけは、事前に本人の同意がいらずに公表できます。
④ 著作物を行政機関等に提供して情報公開法に基づき公表される場合。
①~③は、まあ事前に本人の同意を得ることが条件にあるので、公表権侵害にあたらなくてもまあ妥当かなあという感じですね。
『著作人格権』の中の「氏名表示権」とは?
『氏名表示権』を詳しく説明しますと。
著作者は、著作物の「原作品そのもの」と「その複製物」に氏名を表示する・しないを決めれる権利と実名表示かペンネームで表示するかなどを決めれる。
という権利です。
漫画が映画化した時に、原作名を出すか出さないか、原作の作者名を出すか出さないか、ペンネームにするか実名かって決めれるって事ですね。
逆に映画化する側は許可をもらわなければダメって事です。
しかし、いちいちすべてに許可を取るのはすごく大変です。
ですので、著作者が特別な決まりを設けていない限り、すでに公表しているペンネームなどを使用してこの作品はこのペンネームの方の作品です。と紹介は出来るとなっております。
『著作人格権』の「同一性保持権」とは?
同一性保持権って名前だけ聞くと何が何やらわけわかりませんね。
著作権法の条文を見てみましょう。
第二十条一項(同一性保持権) 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
著作権法e-Gov法令検索
題号は簡単に言うとタイトルですね。
つまり、作品の中身やタイトルを変えるには著作者の承諾がいるって事ですね。
例外があります。
著作者に承諾を得なくても同一性保持権の侵害にならないケースです。
① やむを得ないと認められる改変
例えば印刷物のインクがかすれてたとか、うまく同じ色にならないとかかな。
② 建築物の増築・改築・修繕・模様替えなど
③ 教育目的の改変
小学生用にひらがなに替えるなどはOK。
④ プログラムのバグ修正、バージョンアップなど
こうなっております。
何となくルールとして文字にすると難しく感じますが、自分が著作者側になったとして考えたら、色々細かく権利が決まってくれていた方が助かりますよね。
これはひどいんじゃない!?っていう事態になった時にこういう権利があるとわかってれば主張できますもんね。
まとめ
『著作人格権(譲渡・相続できない名誉の権利)』の中にある3つの権利の内容をまとめますと。
「公表権」は未公表の著作物を発表する権利、他の人に発表させない権利。
「氏名表示権」は著作者名を表示するしない、実名かペンネームか決めれる権利。
「同一性保持権」は著作物のタイトルや内容を他の人に替えさせない権利。
簡単にするとざっくりでこんな感じの権利になります!
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