著作権という権利は、大きな枠であり、さらに細かい権利の束に分かれています。
その細かい権利の束を支分権というらしいのですが、いっぱいありすぎるので図にしてみました。
図で紹介しますとこんな感じです。
著作権って権利はこんなにも枝分かれしていくんです。
これを、一個一個紹介していこうと思っています。
気力が続く範囲で・・・。
今回は図の右側にある『貸与権』という権利について調べてみたので紹介致します。
著作権法には貸与権は何て書いてあるの?
まず、貸与(たいよ)って読みます。
意味は、貸すことかな。
あんまりなじみないですよね・・・。
たまに使うかな、「その本、君に貸与するよ。」・・・使わないですね。
えーと。
大元となるルール、著作権法には貸与権についてどう書いてあるのかを見ていきたいと思います。
第二十六条の三 (貸与権)著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。
著作権法e-Gov法令検索
なんか意外とシンプルなのに内容が入ってきませんよね。
何を言っているんだか・・・。
つまり何を言ってるかというとですね。
レンタルショップです。
貸与ってレンタル、映画の複製物はDVD。
つまりDVDのレンタルの事か!ってなればイメージがわいてきます。
しかし、「映画のやつは除く」と書いているので、音楽CDですね。
音楽CDのレンタルです。
『音楽のCDなどをレンタルにより公に提供する権利は著作者が独占する!』
こんな感じの事が書いてあるって事ですね。
映画がなぜ除外されているかと言いますと、他の権利『頒布権(はんぷけん)』などでもう権利が守られてるからだそうです。
へえ~。なるほどね。
では、いくつか例題で見ていきましょう。
絵画の原作品を公衆に貸し出す行為は貸与権の対象?
これなんですよ。
これはですね~引っ掛けですよね。
『貸与権』で守られてる権利は、『複製物を貸与によって公衆に提供する権利』ですので、原作品の場合は対象外なのです!!
何~!!
そうなの・・・。
まあとりあえず『貸与権』の権利ではないって事ですね。
他の権利で守ってるんだと思います。
購入した本を友人ひとりに貸す場合は貸与権の対象?
この答えは、非常にシンプルです。
お友達ひとりは、公衆ではないので、貸与権対象になりません!
なるほど簡単。
「一定期間内で買い戻すよ」と約束して渡した場合も貸与権の対象?
これが若干複雑ですよね。
貸与権の権利はざっくりいうと
① 複製物を貸与によって公衆に提供する権利
② 映画の著作物(映像の著作物)は、頒布権で対象になっているので貸与権の対象ではない。
この二つです。
今回の例の、『条件付きで貸与』した場合も貸与権対象になるのか?ってところですよね。
これには、もうひとつの条文があります。
2条8項 この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。
著作権法e-Gov法令検索
『いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含む』
と書いてありますので、条件付きであっても貸与は貸与って事で、貸与権の対象に含まれます。
まあ、ざっくりレンタル(貸してる)感じになってたら対象だよね。
こんな感じで進めていきましょう。
まとめ
著作権の支分権の『貸与権』とは。
1⃣ 著作物の複製物を貸与(貸す・レンタル)によって公衆に提供する権利
2⃣ 映画の著作物(映像の著作物)は、頒布権で対象になっているので貸与権の対象ではない。
ざっくりとこんな感じですね。
例題をまとめますと・・・。
① 複製物ではなく原作品を貸し出す行為は。
貸与権の対象にはならない。
② 友達ひとりに貸す行為は。
公衆ではないので貸与権対象にはならない。
③ 条件付きで貸し出した場合は?
貸与の形を取っていれば貸与権の対象になる。
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